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コラム「異見と意見」COLUMN

17期新入社員を歓迎する

4月1日、当社第17期生として、全社員の10%に当る新入社員を迎えた。社員と共に、心から歓迎したい。この長期にわたる厳しい不況の中で、このように大勢の新入社員を迎える事が出来るのは、独自の経営理念の下、誠実に業務に励み、当社を守り育てて来た先輩諸兄の努力の成果である。

政府による多額の税金投入という景気回復策にもかかわらず、一向に回復の兆しを見せず、長期低迷する日本経済、国民の政治離れに正面から向き合おうとせず、マンネリ化した自民党の密室派閥政治。誰もが変革を期待しながらも何も変わらないこの10年は、”失われた10年”とさえ言われている。IT革命時代と言われ、世界が大きく変化する今、日本そして日本人に、今ほど変化が期待されている時はない。にもかかわらず、政治に、経済にリーダーシップがなく、未だ迷走を続けている。この低迷から脱出するには、人間が、自分が変るしかない。

一方、人間は弱いもの。自分を変えるのに何かキッカケが必要な場合が多い。日本には昔から、「一年の計は元旦にあり」という考えあり、年の始めを「過去を振り返り、新しい出発のキッカケとする」習慣があった。しかし最近では、休日休暇の増加、伝統文化への無関心化が進み、年始も変化へのキッカケとならなくなった。そういう観点から言えば、新入社員にとって、学生から社会人への出発点である入社式は、過去の自分から新しい自分へ変身するための、貴重なキッカケである。

既に社会へ出てから久しい先輩達にとっても、この後輩達の入社式という儀式を、自己の変身のキッカケとして活用したいものである。

私は、採用活動の中で、当社を訪問してくる学生達に就職セミナーを行い、その中で「就職とは、一方的に社会の恩恵を被るだけでも良かった学生時代までとは違い、仕事を通じて自らも社会に貢献しようというGive&Takeの世代に入ることである。仕事を通じてGiveをしようというのに、多くの学生達の就職の条件が、給料、休日、福利厚生、教育制度などというTakeのみを期待しているから、厳しい就職活動の中でやっと得た就職先を、3年以内に30%以上もの人が去って行く結果になっているのだ。」と話している。

Giveを目的とする就職に、Takeばかりを期待している限り、不平不満はなくならないだろう。一方で、人生は有限である。不平不満を言っているその時も、一生として自分に与えられた限られた時間は、確実に消耗されている事を忘れるべきではない。

また、人間に欠点があるのと同様に、人間社会にも欠点があり、苦難もある。まして営利を目的とする企業には、人間の感情だけでは制御できない多くの苦労がある。良い点も悪い点も含め、職場というのは、そこに働く人達にとって、「自己表現の場、自己実現の場、自己成長の場」である。職場は、そこに働く人達にとって、起きている時間の大部分を過ごす、人生の場とも言える。

会社が社員に提供するのは、その人生の場であり、それをどのように活用し、自分の人生をいかに豊かなものにするかは、本人の意欲と努力と姿勢にかかっている。 私が結婚して間もない頃、義母から一冊の本を頂いた。本の内容は覚えていないが、そのタイトルは私にとって決定的な影響を与えた言葉、今も忘れない。それは、「人生は芸術である」。

私達の人生は、その人にしか与えられなかった、この世でたった一つの人生。誰にも代わりに生きてもらえない。自分しか生きられない自分の人生。それを一生かかって自分で仕上げて行く。それが生きるということ。いろいろな喜びや悲しみ、楽しみや苦しみの積み重ねが、キャンバスに絵を描いて行く。いろいろな出来事が多いほど、味わい豊かな作品を作り上げることになる。自分の意志とは関係なく生まれ、育てられ、教育されて来たこれまでの人生に対し、社会人としての出発は、自分の意志と責任で自分の芸術作品を描き始める起点となる。さあ、勇気と夢を持って走り始めよう。

(2001.05.10 記)

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