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拡大し続けるCtoCの市場規模とは?国内外の事例を比較
近年、インターネットの普及により、電子商取引(EC)が世界中で活発に行われるようになりました。ECには様々な種類がありますが、中でもCtoCという種類のEC市場は国内外問わず急速な拡大を見せています。
今回のコラムでは、CtoCの市場規模について、CtoCの定義や今後の動向も交えて紹介します。
目次
CtoCとは
CtoCの市場規模を解説する前に、CtoCとは何か解説します。
CtoCとは、インターネット上での商品、サービスの取引を指す「電子商取引(EC)」の一つです。ECについては、以下の記事で紹介しています。
CtoCは「Consumer to Consumer」の略称であり、「C2C」とも呼ばれます。
「Consumer」は英語で「消費者」を意味します。すなわち、消費者が別の消費者に対して行う、インターネットを介した商品やサービスの取引をCtoCと呼びます。
CtoCの具体例としては
- フリマアプリ(メルカリ、ラクマ、PayPayフリマなど)
- ネットオークション(ヤフオク、モバオク、eBayなど)
以上の2つが挙げられます。これらのサービスは、企業が生産した商品やサービスではなく、個人の資産を商品として取引するビジネスであるため、「シェアリングエコノミー」と呼ばれています。不要になったものを再利用することができるため、現在大いに注目されているビジネスモデルです。
CtoCの市場規模(国内)
経済産業省の発表によると、CtoC-ECの推定市場規模は毎年拡大しており、その伸び率も年々増えていることが分かります。
出典:経済産業省が実施した電子商取引に関する市場調査の結果において、令和元年度の公表資料(2020年7月、経済産業省)と令和2年度の公表資料(2021年7月、経済産業省)を参照して作成
特に2020年は新型コロナウイルスの影響で外出自粛が呼びかけられたため、それによって自宅で商品やサービスの取引ができるECが注目されるようになりました。また、自宅にいる時間が増え、自宅にある物を整理する機会が生まれたことにより、不要になったものを商品として売り出せるCtoCサービスを利用する人が増えたとされています。よって、CtoCの市場規模が前年より大きく拡大したと推測できます。
CtoCの市場規模拡大にはフリマアプリが大きく貢献しています。
出典:平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤(電子商取引に関する市場調査)(2019年5月、経済産業省)を参照して作成
経済産業省の調査によると、2018年1年間のフリマアプリの推定市場規模は6392億円となっています。フリマアプリが初めて登場したのは2012年であるため、わずか6年で巨大な規模の市場が形成されたことになります。
また、ネットオークションも年々市場規模を拡大させています。
出典:平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤(電子商取引に関する市場調査)(2019年5月、経済産業省)を参照して作成
なお、この数値はBtoB(企業が企業に対して行うEC、B2Bとも呼ばれる)、BtoC(企業が消費者に対して行うEC)も含んでいます。
フリマアプリとネットオークションは共通点の多いサービスであるため、競合して片方のサービスの市場規模が減少することも考えられていましたが、今のところはお互い拡大の一途を辿っています。経済産業省はこの点について、価格決定方法に違いがある(フリマアプリは売る側があらかじめ決めるのに対し、ネットオークションは買う側がオークションで決める)ため、それぞれ別の市場として成長してきた、という見解を示しています。
今後の動向
インターネットの普及や、オンライン上のサービスの増加もあり、今後もEC市場は拡大していくことが予想されています。もちろんCtoC市場も例外ではありません。近年は持続可能な社会を目指すために設定された開発目標「SDGs」が呼びかけられるようになり、目標の一つである「廃棄物の削減」にリユースが大きく貢献できることから、リユース市場を形成しているCtoC市場の需要もさらに高まっていくとされます。
CtoCの市場規模(海外)
ここからは海外のCtoC市場規模の目安として、代表的なEC先進国である中国、アメリカ、イギリスの市場規模を紹介していきます。
中国のCtoC市場規模
中国のCtoC-ECサービスとして有名なものは、アリババグループが設立したオンラインモール「淘宝网(taobao)」です。さらに近年ではEC市場の形成により、アリババグループ傘下のフリマアプリ「闲鱼(Xianyu)」、テンセントが出資する58同城のフリマサイト「轉轉(Zhuan Zhuan)」、JD.com(京東)グループ傘下の不用品取引プラットフォーム「拍拍(PaiPai)」、中古スマホ買取サービス「愛回収」(Aihuishou)など様々なサービスが登場しています。
中国のMobData研究員によると、中国における中古品取引市場規模(大半はCtoC-EC)は、2020年には1兆2,540億元に及ぶとされています。また、iResearch社によれば中国のCtoC-EC利用人口は2020年に1.87億人を超えるという見通しがされています。
出典:令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)報告書(2021年7月、経済産業省)を参照して作成
出典:令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)報告書(2021年7月、経済産業省)を参照して作成
今後の動向(中国)
2021年3月、日本の大手フリマアプリ「メルカリ」と、中国のCtoC大手サービス「淘宝网(taobao)」、「闲鱼(Xianyu)」が連携し、中国でメルカリの一部商品を閲覧・購入することが可能になりました。2020年10月に「淘宝网」と「闲鱼」で行われた実証実験では、開始初日からメルカリの商品が購入されたようであり、日本の製品が中国の消費者にとって高い需要を持つことが分かります。
今後中国のCtoC市場は日本からの商品が流通するようになったこともあり、さらに拡大していく事が予測できます。
アメリカのCtoC市場規模
アメリカにおいては、サステナブルな社会やSDGsへの関心が高まっていることもあり、リユース市場が近年注目を集めています。特に、オンラインを中心として中古品売買を行うリユース市場は「リコマース市場」と呼ばれ、さらに注目されています。
経済産業省によると、アパレルのリユース市場は2020年で320億米ドル、2024年には640億米ドルまで拡大することが見込まれています。また、その中でオンライン中心の市場は2020年の100億米ドルから2024年には360 億米ドルまで大きく成長すると推定されています。
アメリカのCtoCサービスの代表格は大規模ネットオークションサイトの「eBay」です。
出典:平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤(電子商取引に関する市場調査)報告書(2019年5月、経済産業省)を参照して作成
2007年の流通総額は465.7億米ドルでしたが、2018年では945.8億ドルと約2倍以上の値となっています。
また、eBay以外にも、近隣のユーザー間で商品を売買するフリマアプリ「OfferUp」、ソーシャルネットワークの機能を搭載したフリマアプリ「PoshMark」、ハンドメイド関連に特化したマーケットプレイス「Etsy」など、様々なCtoC-ECサービスが存在し、成長を続けています。
今後の動向(アメリカ)
前述の通り、リユース市場は今後もさらに拡大していくと予想されています。また、アメリカで様々なフリマアプリがスタートアップし、一定規模の取引ニーズが存在しているため、CtoC-EC市場は今後も成長が見込まれています。
イギリスのCtoC市場規模
中国、アメリカに続き世界3位のEC市場規模を誇るイギリスでは、51%ものネットユーザーがオンラインでの買い物を好むというデータも報告されています。そのため、フリマアプリやネットオークションも多くの人に利用されています。
イギリスのCtoCサービスの代表格はアメリカと同じ「eBay」です。
出典:Net annual revenue of eBay Inc. in the United Kingdom (UK) from 2013 to 2020(statista、2021)を参照して作成
2013年以来、流通総額はほぼ横ばいでしたが、2020年は外出自粛によりネットオークションの需要が高まったことで、前年の約1.26倍の流通総額を叩き出しています。
eBay以外では、イギリス在住の日本人向けのフリマアプリ「MixB」や、ファッションに特化したフリマアプリ「depop」などのCtoC-ECサービスが存在し、人気を博しています。
今後の動向(イギリス)
イギリスは世界でも有数のオンラインショッピング先進国であり、BtoCが非常に盛んな国です。しかし、最近はフリマアプリやスマートフォンの普及によりBtoCからCtoCへの移行が進んでいるため、CtoC-EC市場は今後さらに拡大していくことが予想されます。
まとめ
今回のコラムでは、国内外のCtoCの市場規模を今後の動向と合わせて紹介しました。
EC市場は市場全体と比較すると小規模ではありますが、インターネットの普及や生活スタイルの変遷などにより、今後さらに拡大していくと予測されています。中でもCtoC市場は不要物のリユースへの関心が強まっていることもあり、さらに成長が見込まれます。
今後のCtoC市場の動向には、さらなる可能性が期待できそうです。
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