コラム「異見と意見」COLUMN
新しい年の始めに
明けましておめでとうございます。
本年も、若さと未熟さを兼ね備えた、活気ある経営を目指したいと思います。力を合わせて良い一年にしましょう。
さて、年の始めに当り昨年を簡単に振り返ってみましょう。先ず世界では、アフガニスタン戦争が短期間に終結した事は幸いであったものの、イラクを巡る戦争気配の高まり、北朝鮮の衝撃的な動き、そして経済面ではこれまで世界経済を1人で引っ張って来たアメリカ経済の急速な落ち込みの一方で、中国経済の台頭など、ざわめきが多い一年でした。
次に日本では、政治も経済も言葉は多いものの、相変わらず停滞が続き、倒産、失業者が増加し続けています。その中で小柴さん、田中さんという同時に2名のノーベル賞受賞と、北朝鮮から5人の拉致被害者の帰国が、一寸ばかり国民の心をなごませてくれる出来事でした。
当社はこのような動きに影響される事なく、独自の道を歩み続けていますが、昨年は会社の将来にとって非常に重要な転換点となりました。私は近い将来、ソフトウェア産業にとっても、農業や一般製造業と同様の空洞化が到来すると予想しています。そのため、当社は既に6年も前からその時に備え、一般ソフトウェアビジネスからユースウェアビジネスへと、ビジネス構造の改革を念頭に置いて、ユースウェアビジネス開発部を発足させ、海老名開発センターを開設し、その育成に努めてまいりました。
昨年、その運営を全て社内育成の社員のみで運営するという人事政策で、ついに当初目論んでいた職場の文化と活気を軌道に乗せることができました。さらに顧客を海老名開発センターにつなぐための人事的体制も出来、ビジネス構造改革に本格的に取り組むための基盤整備が出来たと言えます。
一方で昨年早々から、当社の経営理念や目指すべき経営の方向など、組織として全社員で共有すべき価値観と共通の目標を確認し合うためのキャンペーンを始め、また秋から年末にかけては、集中的にフォローアップ研修も実施しました。
そして今、2003年がスタートしました。この一年は創業20周年に向けた非常に大切な年になります。先ずビジネス面で、ユースウェアビジネスへの構造転換に向けた本格的なスタートの年です。基盤整備が出来、職場雰囲気も上昇中です。共有する価値観と、共通の目標の下に、全社員で力を合わせ、次々と仕事を取り込み、その体験を活かして業務知識を含む本格的な自立のできる実力養成を図る年です。
組織運営についても、題目や形式だけでなく、行動に移す年です。当社は2次元組織での運営を宣言して来ました。情報パスの長いピラミッド型縦組織ではなく、フラットで、組織間や役職間での壁のない機動性のある組織作りを目指して来ました。既に形式的な組織はそのように作り育てて来ましたが、未だ認識の面で未熟さが残っています。ともすれば硬直化した役職意識や守備範囲へのこだわりが芽を出しそうになります。
これは日本中がそういう文化に浸っているという環境の影響が大きいかとも思いますが、この保守的な日本の文化を打ち破る必要があります。そのためには、上司と部下という”点と線”のスタイルから、”面”即ち”共有する価値観と共通の目標の下での協力と組織分担”というスタイルの組織運営へ転換する事が大切です。新しい時代は、1人の人間が全てを決定し、指示するという程、易しい時代ではありません。夫々の人が得意な能力を出し合い、また欠点を補い合い、文殊の知恵により、新しい課題に取り組み、組織運営をする時代です。
インターネットの発達が、フラットな運営を容易にしてくれました。全社を挙げて”点と線”から”面”の時代への転換を図りましょう。
また社員の皆さんもこの一年を通じて、何かの点で1ランク上の自分への成長を目指しましょう。専門技術のレベルを1ランク上げるのも良いでしょう。他の分野へ広げるのも一案です。担当する業務に関して自信を持てるだけの専門的業務知識を身につけるのも良いでしょう。この一年を終える時、社会人、職業人としての自己成長を自己認識できるようになる事を目指して、新しい年のスタートを切ってください。
(2003.01.15 記)