コラム「異見と意見」COLUMN
コラム「異見と意見」について
企業は資本主義の申し子として、営利活動をするのは当たり前ですが、同時に社会の一員であるというのも当たり前です。
会社が栄えているのは経営がうまいからだというのは事実かもしれませんが、それ以上に、そこに健全な良い社会が有るからこそ、安心して企業活動が出来るのだと考えた方が自然ではないでしょうか。
したがって、企業はその社会を利用して単に営利活動をするだけではなく、自らも社会の一員即ち「企業市民、Corporate Citizen」として、その健全な社会の維持、発展のためになんらかの形で積極的に社会参加し、貢献すべきだと思います。
当社はそういう認識の上に立って、営利活動に効率よく働く、いわゆる「企業戦士」に社員を育てるのではなく、まずは自立したよき社会人、即ち社会との間でGive&Takeの出来る社会人に育てることが大切だと考えております。同時に、企業市民として、企業としての個性を持ち、それを自己主張という形での情報発信を通じて社会にインパクトを与えるのも、一つの社会貢献だと考えております。
読者の皆さんのご意見・異見、ご批判、アドバイスその他お気づきのことなどがございましたら、
「Reaction 異見・意見」として是非次のメールアドレス(hello@nck-tky.co.jp)までお寄せください。
相談役最高顧問 高瀬 拓士
1939年大分県生まれ。1958年日立製作所に入社し、戸塚工場にて大型コンピュータ開発設計に従事。1973年に進工業株式会社へ、経営支援のために工場長として出向。翌74年に同社取締役就任と同時に日立製作所を退社。同社にて米国現地子会社立ち上げなどに従事した後、1987年に株式会社日本コンピュータ開発へ経営支援のため転籍し、取締役兼システム部長に就任。1990年に同社代表取締役社長に就任。2006年6月に代表取締役を退任し、相談役最高顧問として現在に至る。著書に『いつ倒産しても良い経営』(幻冬舎)などがある。
著者執筆書籍
「生き残る経営」よりも「いつ倒産してもいい経営」
日本経済が長期低迷し、「失われた30年」といわれていた2024年3月、それまで徐々に上昇していた株価が急上昇し、日経平均株価が一気に4万円を超えるという歴史的株高を記録した。自信をなくし長期低迷していた日本経済が再び息を吹き返しそうに思えるが、しかしながら、あのバブル経済がもたらした社会の実態を振り返ることなく、再びあのバブル経済のような経済発展を始めようというのだろうか?――ひたすら「経済的な豊かさ」を追求してきた日本の社会は、人間関係は希薄で無縁社会と評され、子供たちのはしゃぐ声は大人社会に迷惑がられ、幼稚園建設は近隣住民の反対運動を受ける。少子化の中で貴重な若者たちが生きる意欲を失って自殺するだけでなく、生きていても経済競争社会のストレスに耐え切れず、自宅にこもるニートといわれる者がいる一方で、精神障害で凶悪事件を引き起こす者も多い。かつては「和魂漢才」「和魂洋才」といわれた日本近代化の歴史があるが、戦後の貧しさからの脱出を達成して以降も、ただひたすら経済発展という物質文明を追及する日本社会は、「無魂米才」ともいえるありさまである。
日本人として自立の意思も志もなく、世界に誇れる伝統的な日本文化を失い、日本人の日本知らず。日本社会は今、教育現場も政治の世界も、欧米型人権主義、金銭最優先の物質文明など、欧米の価値観に毒されてしまっている。これは明らかに日本人の民度の低下であり、教育も政治も民度以上にはよくならないのではないだろうか?
本書では、そのような日本社会の行く末を憂い、日本社会と経済を真に回復させるために日本人の民度を向上させるカギとして、「企業=最強の社会人教育機関」の意義について述べる。もし民度を向上させる方法があるとしたら、それは教育であるが、その教育を左右するのは政治であり、その政治を支えるのは国民、つまり社会人である。その社会人の質を左右するのは、企業ではないだろうか? 企業はその組織活動を通じて社員、つまり国民に絶大な影響を与えている。日本社会、そして日本人が日本の伝統文化に無関心になり、ひたすら金銭を追い求めるようになったのも、日本的経営を放棄してただひたすら経済的成果を追求するアメリカ型経営、無魂米才の典型である企業の責任ではないだろうか?
「無魂米才」「無魂洋才」ではない、伝統的な日本の文化を背景にした新たな日本的企業経営の創造に取り組むための、中小企業経営者必読の経営論。
いつ倒産しても良い経営
経営者にとっては、会社が倒産しないようにすることが重要なこと。
そんな誰にとっても明らかな一般的な常識を疑うことから始め、「倒産することも社会貢献のひとつ。
いつ倒産しても良いような経営をすることが大事」という、ユニークな会社づくりを行っている経営者の経営方法を紹介。
儲けることよりも社会に役立つことを前提にすれば、企業も社員も会社もうまく回り出す。
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